『君知るや、我が心。』




「結果はいつも同じなんだ」
 すべての事象は…
 偶然の選択した不確定性の帰結に過ぎない。
 万端の支度を整えようと、失敗することがあり…なんの苦労もせずに、望外の僥倖で成功することも、ある。
「……奉孝」
「………」
 伏せた目蓋。
 閉じてさえ、切れ上がった目許の涼しさ。
 口のなかの呟きは、ややもすると意味のない音の羅列。
「持ち続けることが、最も辛いのは……」



 たぶん……猜疑の心だ。



「諦めも…
 悲しみも…
 憎しみも…
 恨みつらみも…
 すべてはいつか、過去になるもんなんだが」



 けれど…疑いだけはいつだって。
 心を離れぬ、現在進行形の、モノだ。



 ゆらり…ゆら…ゆら……
 せつないものを、あやし、なぐさめ、ねむらせる。



「奉孝よ…
 ひとというのは、哀しいな」



 それは、幾度となく、宿命の出逢いと永遠の別れを繰り返した挙句の、だれもが抱く、慨嘆…
 信じはしないと云いきるからには…
 どれほどまでにおまえは…
 ひとを信じていたのだろう?






|| モドル|| 『滔天廻路:上演作品目録』|| ススム||
製作年月日:20:36 2005/06/09
文責:市川春猫