『君知るや、我が心。』




 すべて……
 ひとの営為とは、経済行為に還元される。
 アイシテイルと口にするとき、言葉に釣り合うだけの見返りを、無意識のうちに、求めているのだ………
 『愛情』も『金銭』も、つまり。
 共通の認識を持った社会集団においてのみ、流通することを許可された『幻想』に過ぎない。
 愛…?
 所有欲を独占欲にまで欲望した挙句の、ていのいい言い訳と、云ってしまえばそれまでのもの。
 結論はただひとつ。
 ひとは…だれも……
 ―――自分を愛するのと同じくらいに何者も、愛したりなどしない。
 だれかを愛していると思うとき。
 ひとは……自らの思い描いた虚像を相手に投影し……自らが作り上げた偶像に、恋焦がれているだけなのだ。
 万有の真理をひとことで言い当てるならば。
 曰く。
 不可解。






|| モドル|| 『滔天廻路:上演作品目録』|| ススム||
製作年月日:20:36 2005/06/09
文責:市川春猫